Audi RS Q e-tron @ Morocco [2021]

2021/09/21
19:00

砂丘での最初のテストを行った、「アウディ RS Q e-tron」。

2022年1月の『ダカールラリー』でのデビューに向けて、アウディスポーツは最も過酷な条件下で約2週間のテストを行った。
ドイツとスペインでのテストの後、チームはモロッコに向かい、暑さと初めての砂漠と砂丘を経験。
今回も3組のドライバークルー全員が参加し、『ダカールラリー』で史上最多の総合優勝回数を誇るステファン・ペテランセル（フランス）、カルロス・サインツ（スペイン）、マティアス・エクストローム（スウェーデン）が、非常に複雑なプロトタイプのステアリングを握った。

もちろん、コ・ドライバーであるエドゥアール・ブーランジェ（フランス）、ルーカス・クルス（スペイン）、エミル・バーグクビスト（スウェーデン）の3人も参加。
ドライバーとコ・ドライバーは『ダカールラリー』で重要なユニットを形成し、レース中でもコックピットで快適さを感じる必要がある。このことは、スペイン・サラゴサでのテストの後にタスクリストに記載された多くのトピックの1つだった。
モロッコでのテストではドライバーとコ・ドライバーがタイトなコックピット内により多くのスペースを確保し、お互いのコミュニケーションを改善できるよう変更が加えられ、フィードバックは肯定的だった。

テストチームがモロッコで経験した条件のいくつかは極端なもの。
温度計は時折40℃をはるかに超えて上昇し、砂嵐もテストを妨げた。
さらに予想された通り、高温によるいくつかの新しい問題が発生。それが繰り返しテストの中断を引き起こし、次のテスト前に解決する必要があった。

チームは『ダカールラリー』では気温がはるかに低くなると予想している。
それにもかかわらずテストチームは意図的にモロッコに向かい、最も極端な条件下で「RS Q e-tron」のコンセプトをテスト。
例えば、モータージェネレーターユニット（MGU）などのコンポーネントは基本的にこのような高温の条件で使用するために開発されたものではないものの、ドライブトレーンやその他のコンポーネントも含め熱による限界まで、またはそれを超える領域までプッシュした。
モロッコで得られた知見は非常に貴重であるが、『ダカールラリー』の前にはまだやるべきことが多くあり、残る時間があまりないことも示している。

『ダカールラリー』のために特別に開発された高電圧バッテリーも大きなトピックとなっている。
それはすべて、最適な温度管理とバッテリーの最大性能を呼び出すことができること。
これらはチームがすべてのテストで学んでいるところであり、そしてこれこそがチームが電動ドライブトレーンのテストで砂漠に向かう理由。
チームは市販車開発を行うアウディの同僚とも情報を共有し、膨大な量の経験を積んでいる。

「RS Q e-tron」は、『フォーミュラE』を戦ったMGUを2基備えた電動ドライブトレーンを搭載。
アウディスポーツが新たに開発した高電圧バッテリーは、『DTM』を戦った高効率のTFSIエンジンと3基目のMGUで構成されるエネルギーコンバーターを介して駆動しながら充電される。

テストと並行して、ノイブルク・アン・デア・ドナウにあるアウディスポーツのファクトリーでは、シャシーナンバー"104"となる最初の競技用マシンの製造が開始された。
現在のテストカーはあくまでもプロトタイプであり、実際の競技用マシンは正確なフィット感という点で絶対的な完璧さを目指している。