Audi RS 3 prototype [2021]

2021/06/29
18:33

アウディが公開した、「アウディ RS 3 プロトタイプ」。

「RS 3 プロトタイプ」は、純粋なドライビングダイナミクスの縮図を表している。
これは、完全可変な方法で後輪間の駆動トルクを分配するRSトルクスプリッターを搭載したアウディ最初の車両。

RSトルクスプリッターは、最大限のドライビングダイナミクスのためのアクティブリアアクスルトルクベクタリング。
後輪間のアクティブで完全可変のトルクベクタリングを可能にする。
リアアクスルディファレンシャルや従来のマルチディスククラッチパッケージとは異なり、トルクスプリッターはそれぞれのドライブシャフトにそれぞれ1つの電子制御マルチプレートクラッチを使用。
トルクスプリッターはダイナミックなドライビング中に、ホイール負荷が高いほど外側の後輪へ駆動トルクを増加させ、アンダーステアの傾向を大幅に低減。
左カーブではトルクを右後輪に伝達し、右カーブでは左後輪に伝達。そして直進時は両方の車輪に伝達する。
これにより、特に高速コーナリング時に最適な安定性と最大の敏捷性が得られる。

クローズドコースを走行する場合、トルクスプリッターは後車軸に送られるエンジン出力をどちらか一方の後輪だけに送ることができ、制御されたドリフトを可能にする。
その最大トルクは、1,750Nm。

RSトルクスプリッターが走行性能を向上させるのは、推進力の違いによりコーナリング性能が向上し、舵角をより正確に追従するため。
これによりコーナーの出口での加速が速くなると同時に、特に正確で機敏なハンドリングが可能になり、日常使用における安全性とレーストラックでのラップタイムが向上する。
またRSトルクスプリッターは、カーブ内側の車輪または必要に応じて両方の車輪にトルクを向けることにより、オーバーステアを補正する。

RSトルクスプリッターは、アウディ・ドライブセレクトを介してドライビングダイナミクスシステムに統合される。
ドライブトルクの正確な分布は、常にアウディ・ドライブセレクトで選択されたモードとそれぞれの運転状況に依存。
システムで選択可能なモードは、"コンフォート＆エフィシェンシー"、"オート"、"ダイナミック"、"RSパフォーマンス"、"RSトルクリア"の5種類。
"コンフォート＆エフィシェンシー"ではエンジン出力が四輪すべてに分配され、フロントアクスルが優先される。
"オート"モードはトルク分配のバランスに優れ、アンダーステアでもオーバーステアでもない。
"ダイナミック"モードは、最大限の敏捷性とダイナミクスの向上のために可能な限り多くの駆動トルクをリアアクスルに伝達する。
"RSトルクリア"モードでは、クローズドコースで制御されたドリフトを実行することができる。非常にリアヘビーなエンジン出力の分配はオーバーステア動作につながり、駆動トルクの最大100%がカーブ外側の後輪に向けられる。

さらにアウディは、エンジンとトランスミッションの特性を調整。
この特定のセットアップはレーストラック用に設定された"RSパフォーマンス"モードでも使用され、パフォーマンスセミスリックタイヤ"PIRELLI P Zero Trofeo R"用に特別な調整が施されている。
このモードではRSトルクスプリッターは、アンダーステアとオーバーステアを可能な限り少なくし、縦軸に沿って特にダイナミックでスポーティーな乗り心地を実現。
これによりコーナーからの加速が速くなり、ラップタイムが向上する。

モジュラービークルダイナミクスコントローラー（mVDC）は、シャシーシステムがより正確かつ迅速に相互作用することを保証する。
そのために、このセントラルシステムは横方向のダイナミクスに関するすべてのコンポーネントからのデータをキャプチャ。
mVDCは、RSトルクスプリッターの2つのコントロールユニット、アダプティブダンパー、およびホイールセレクティブトルクコントロールを同期させ、高精度のステアリングとハンドリングを実現。
全体として、特にダイナミックな路面で車両全体の俊敏性が向上する。