Audi RS 3 LMS [2021]

2021/03/29
18:33

集中的な開発が進められている、新しい「アウディ RS 3 LMS」。

2月5日にワールドプレミアが行われたアウディスポーツの新しいTCRレースカーは、ドイツ・インゴルシュタットでの風洞試験、スペインとイタリアでのテスト走行を完了。

インゴルシュタットのアウディAGでは、ワールドプレミアに前後して初めての風洞試験が行われた。
エアロダイナミクスのコンセプトは既にコンピューター上で純粋に数値的に作成されており、流体力学を使用して計算されたダウンフォースと抗力の予測値は風洞で完全に一致していることが確認された。

風洞試験に続いて、スペイン・カタルーニャのカステリョリ、イタリア・ローマ近郊のヴァレルンガ、スペイン北部のアラゴンのサーキットでテスト走行が行われた。
アウディスポーツのエントリーレベルモデルの第2世代である新しい「RS 3 LMS」は、2月23日～24日にカステリョリで最初のラップを完了。フレデリック・ヴェルビッシュ（ベルギー）は約500kmを走破し、開発陣は一般的なコンポーネントのテストとパワートレーンとシャシーの初期セットアップおよび空力バランスに焦点を合わせた。
エンジニアはまた標準化されたTCRエンジンコントロールユニットの機能をチェックした。
アウディスポーツは3月8日～10日にヴァレルンガで、3月17日～18日にアラゴンでテストを続けた。イタリアでは最初に雨が降ったため、エンジニアは空気圧とサスペンションのセットアップをウェット条件で試みる機会を得た。ここではヴェルビッシュに加えて新たにアウディスポーツのワークスドライバーとなったナタナエル・ベルトン（フランス）が初めてステアリングを握り、2人はディファレンシャル、ダンパー、空力バランスのセットアップ作業を重点的に実施。
開発チームはまた、予選のための最適な構成に焦点を合わせながら、完全なレース距離での挙動も確認した。

アウディスポーツはすでにカステリョリで新しい「RS 3 LMS」に肯定的な印象を持っており、これはヴァレルンガとアラゴンでも続いた。
これまでの合計走行距離は約3,000kmに達し、開発テストの優れた基盤を確立した。

さらに他の開発プログラムも、今夏の『FIAワールドツーリングカーカップ（WTCR）』でのレースデビューまで段階的に進めることを予定。
次のステージはすでに決まっており、プロモーターであるWSCによるパフォーマンスバランステストの過程で、新しい「RS 3 LMS」のエアロダイナミクスと重心の値を決定することが目的となる。
アウディスポーツでは5月1日にホモロゲーション取得を目指しており、カスタマーレースカーのさらなるテストと生産準備により、初夏のスケジュールが決定される。

新しい「RS 3 LMS」は、6月3日～5日にドイツ・ニュルブルクリンクのノルドシュライフェで開催される『FIAワールドツーリングカーカップ（WTCR）』の開幕戦でデビューを果たす。

アウディスポーツによるTCRレースカーの第2世代は、今年後半にカスタマーへのデリバリーが開始される。
2016年末以降、アウディスポーツは初代「RS 3 LMS」を180台生産し、世界中のカスタマーに販売。世界中で54のレーシングタイトルを獲得した。